臨床研究適正評価教育機構

お知らせ

バイエル薬品株式会社から当機構に対して下記の件について報告と説明があっ
た。

件名:バイエル薬品の社員による“患者の個人情報漏洩問題”に対する社外調査委員会による調査結果の説明

日時:2017年9月29日(金)
場所:大阪市内
バイエル薬品からの出席:本社より執行役員、循環器領域事業部部長、メディカルアフェアーズ部長の3名
J-CLEARからの出席:桑島巖理事長、植田真一郎副理事長、原田和昌理事、菊池健次郎評議員の4名

●事実確認

 2012年4月から2013年8月にかけて、バイエル薬品宮崎営業所の社員3名(内2名は営業所長)が、宮崎市内のA循環器内科診療所において、同社製品であるイグザレルト錠の使用経験に関するアンケート調査の結果を調べるために最大298名分のカルテを閲覧した。その際、患者ID、氏名、年齢、保険証番号などの個人情報を筆写し、ワルファリン、プラザキサなど競合他社製品に関する情報なども入手した。本件はバイエル薬品当該MRの内部告発により発覚した。

●外部調査委員会の調査結果と当機構による聞き取り

 バイエル薬品は,当時は会社として臨床研究とは捉えておらず、単にアンケート調査という認識であった。したがって倫理委員会での審査はおこなわれておらず、またバイエル薬品本社のメディカルアフェアーズ部門への報告もなく、営業部門が独自におこなっていた調査であった。しかし現在では臨床研究であったことを認めている。
 アンケート調査結果は、1日1回服用の利点を強調する内容であったが、その内容は講演会、座談会、販促パンフレットなどで使用された。
アンケート結果は医学雑誌に掲載されたが、結果のまとめと論文執筆には、本部のプロダクトマネージャーが関与していた。論文は事件発覚後の2016年6月1日に撤回された。
 調査の過程で、イグザレルトによる副作用が11例あったにも関わらず、当時は副作用と認識しなかったため厚労省に報告しておらす、事件発覚後の2017年5月24日に漸く報告した。
 本件に関して、内部告発者に対する「公益通報保護法」への抵触はなかった。

●当機構からの指導

 本事件の根本的要因は、営業部門および学術部門、メディカルアフェアーズ部門のコミュニケーションが全くとれておらず、営業部門が独走してしまったことによる。今後は社内各部門の意思疎通を向上させるとともに、営業部門の独走による誇大広告や研究活動の推進などを阻止する体制を構築する必要がある。とりわけ社内におけるメディカルアフェアーズ部門の完全独立は重要であり、会社幹部や営業幹部の意思が介入のないような強固な部門であるべきである。
 また今回の件は、社員に対する法令遵守(コンプライアンス)の教育が不十分であったことも一因である。今後は全国の支店長や営業所長はもちろん、全社員に対して、法令遵守と倫理に関する定期的セミナーや講習会をおこない、全員が聴講したことを確認すべきである。今回の件では営業所長が関与していたことは問題であり、バイエル薬品株式会社の利益最優先体質が如実に反映されたー件である。

●関連機関よりの指導

本件に関して、バイエル薬品株式会社は、指導監督機関より以下の指導をうけた。
2017年7月21日 
 厚生労働省より「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守して医学系研究を実施するよう強く求める旨の通知。

同年9月13日 
 個人情報保護委員会より、個人情報の保護に関する法律に基づき、個人情報の取り扱いに対する指導。

同年9月29日
厚生労働省より以下の指導
1. 法律第68条の10第一項および施行規則第228条の副作用報告遅延に対する指導
2. 医薬品の適正使用に資する適切な情報提供活動と倫理性の確保に対する改善指導

●再発防止への取り組み

 以上の指導を受け、バイエル薬品株式会社としては再発防止と信頼回復にむけ、以下のような改善の取り組みを推進する。
社長を含む8名からなる運営委員会を設置。同委員会の下に4つのワーキンググループをたちあげ、それぞれがガバナンス、コンプライアンス、個人情報保護、企業文化の変革という4つの課題にかかわる再発防止策の策定と実施に取り組む。社員の意識改革、社内規定・手順の整備、体制強化、教育研修を中心に取り組むことを推進する。

詳細は、バイエル薬品ホームページを参照
http://byl.bayer.co.jp/html/pdf/yakuhin6.pdf

2017 年10 月  以上文責臨床研究適正評価教育機構理事長 桑島 巌
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